先に結論
先に要点を言うと、「サーバーの引っ越し」と一言で言っても、実際には「データ」「ドメイン」「メール」の3つを別々に考える必要があります。
この3つはそれぞれ独立した要素で、まとめて一括移動できるものではありません。
移転前にそれぞれの扱いを整理しておくことが、作業を落ち着いて進めるための出発点です。
サーバーとドメインは別の契約
まず前提としてお伝えしたいのですが、サーバーとドメインは別々の契約です。
サーバーは「データを置く場所」、ドメインは「サイトのアドレス(URL)」にあたります。
この2つは別の会社と契約している場合もあり、サーバーを移転するだけでは、ドメインは自動的に新しいサーバーを向いてくれません。
移転の作業は「新しいサーバーにデータを用意する」だけでなく、「ドメインの参照先を新しいサーバーに切り替える」という手順がセットになります。
ここを把握しておくと、移転全体の流れが理解しやすくなります。
データは「持ち込まない」前提で割り切る
移転元に蓄積したデータをそのまま新しいサーバーへ持ち込めれば理想的ではあります。
ただ、移転元サーバーの仕様によって対応できる範囲が変わります。
移転元がデータのエクスポートに対応していない場合や、形式が異なる場合は、そのまま持ち込むことが難しくなります。
データ移行に労力をかけるよりも、新しい環境でゼロから構築したほうが、後のトラブルが少ない傾向があります。
「持ち込まない」と最初に割り切ることで、作業の全体像がシンプルになります。

独自ドメインをそのまま使うか、新規取得するか
データの次に整理するのがドメインの扱いです。
既存の独自ドメインを継続して使いたい場合は、そのドメインの参照先を新しいサーバーへ切り替える作業が必要になります。
一方、既存のドメインにこだわりがなければ、エックスサーバーで新たに取得するのが最もスムーズです。

「ドメインを変えたくない」という気持ちはよく分かります。
とはいえ、継続利用には後述するような手続きが伴うため、新規取得できるなら最初からそちらを選ぶほうが、移転の手順がシンプルに収まりやすいです。

ネームサーバーの変更とドメイン移管は別の手続き
既存のドメインを継続して使う場合、「ネームサーバーの変更」と「ドメイン移管」という2つの手続きが候補に挙がります。
この2つは別の作業で、混在したまま進めてしまうと後からトラブルになりやすいため、先に整理しておきます。
ネームサーバーの変更は、ドメインの参照先を新しいサーバーに切り替える操作です。
ドメインの契約先(管理会社)は変わらず、「このドメインはどのサーバーを見ればよいか」という設定だけを変えます。
一方、ドメイン移管は、ドメインの契約先そのものを別の会社へ変える手続きです。
たとえば、A社でドメインを取得していたものをエックスサーバーで管理するよう変更する、というのがドメイン移管にあたります。
「新しいサーバーでサイトを表示したい」だけであれば、ネームサーバーの変更で対応できる場合がほとんどです。
「ドメインの管理会社もエックスサーバーにまとめたい」という場合に、移管を検討することになります。

独自ドメインのメールアドレスを使っている場合
ドメインの話の延長で、もう一点お伝えしておきたいのですが、独自ドメインのメールアドレス(例:info@〇〇.com)を使っている場合は、過去のメールデータが移行できないのが前提です。
サーバーを移転した時点で、移転元のサーバーに残っていたメールは基本的に参照できなくなります。
補完できる方法としては、移転前にメールソフト(メールクライアント)側にメールをダウンロードしておくことがあります。
Outlookなどメールソフトを用いて、メールサーバー上に存在するメールをローカル環境(端末側)に保存する設定(POP受信)を使っている場合は、手元に残っている状態です。
ただ、Webブラウザだけでメールを確認する使い方をしていた場合は、移転と同時に過去メールが消える可能性があります。
業務でメールアドレスを使っている場合は、移転のタイミングと対応方法を事前に確認しておくことをお勧めします。

代行を依頼する場合に知っておきたいこと
移転作業を誰かに依頼する場合、「できないこと」の理由を整理しておくと、認識のずれが起きにくくなります。
移転元サーバーの仕様上、対応が難しいことと、依頼する作業者のサービス範囲として対応していないことは、別の話です。
この点が混在したまま進むと、作業後に「思っていたのと違う」という状況になりやすいです。
有料オプションで対応できる内容もありますが、移転元の仕様によってできることの上限が決まる以上、事前にどこまで対応可能かを確認してから進めることをお勧めします。
まとめ
サーバーとドメインは別の契約であることを前提に、移転はデータ・ドメイン・メールの3つを個別に整理する必要があります。
データは移転元の仕様に依存するため、持ち込まないと割り切ることで作業がシンプルになります。
ドメインは継続利用か新規取得かによって手続きが変わり、継続する場合はネームサーバーの変更とドメイン移管のどちらが目的に合っているかを先に確認することが大切です。
メールアドレスは移転と同時に過去データが消えるのが前提なので、移転前にメールソフト側にダウンロードしておくことが現実的な対応の上限になります。
この3つを移転前に整理しておくことで、作業の見通しが立てやすくなります。



